万葉集より
太宰師大伴卿、酒を讃むる歌
験なきものを思はずは一杯の濁れる酒を飲むべくあるらし
(この人生、甲斐なきものにくよくよとらわれるよりは、一杯の濁り酒でも飲む方がずっとましであるらしい)
なかなかに人とあらずは酒壺になりにてしかも酒に染みなむ
(なまじっか分別くさい人間として生きてなんかいずに、いっそ酒壺になってしまいたい。そうしたらいつも酒浸りになっていられよう)
世間の遊びの道に楽しきは酔ひ泣きするにあるべかるらし
(この世の中のいろんな遊びの中で一番楽しいことは、一も二もなく酔い泣きすることにあるようだ。)
この世にし楽しくあらば来む世には虫に鳥にも我れはなりなむ
(この世で楽しく酒を飲んで暮らせるなら、来世には虫にでも鳥にでも私はなってしまおう)
生ける者遂にも死ぬるものにあればこの世にある間は楽しくをあらな
(生ある者はいずれ死ぬものであるから、せめてこの世にいる間は酒を飲んで楽しくありたいものだ。)
伊藤博氏訳
この調子で十三首詠んでます。
気合の入った呑兵衛です(^_^;)
いつの世でもいるもんですね…
人間はかわいいです。