昨夏いつも通り車を運転してゴルフに行っていた父の携帯から、知らない女性の声で電話がかかってきた。「あなたのお父さんが、降りるインターがわからなくなってしまって道に迷ってます、教えてあげてください!」驚いたがまずは父に代わってもらい、道を説明した。すごく長い時間をかけ、ゲッソリした面持ちで父は戻ってきた。認知症を疑い始めたきっかけだ。
思えば、母の闘病中より酒量が増し、亡くなってからは毎日酒浸り。寂しさからくるものだと理解はしていたが、あまりの酒量に時には体調を崩して寝込むほどだったため、何度も酒を隠したり取り上げたりした。が、「飲むことしか楽しみがないのに取り上げるな!」と激昂し、自分で買いに出てしまう。完全にアルコール依存だった。本人に止める意思がないので、周りがいくら諭しても聞く耳もたない。また、大の医者嫌いで、肝臓壊れてるよ、と脅そうが長生きしてもらいたいから病院行こうよ、と懇願しようが頑として行かない。アルコール依存を扱う病院の電話窓口で相談したところ、「ご本人がお酒止める意思がなければ、また、体をメンテナンスするという意思がなければ、病院抜け出しますし、お酒を買いに出てしまいます。ご本人がお酒を死ぬまで飲みたいということを選ぶならば、それも生き方ですから、飲ませてあげるのも一つの方法です。異変があったらすぐ救急車、と心しておいて、あとは見守るのが良いかもしれません」とアドバイスされた。
なるほど、と妙に腑に落ちた。そうだよな、何よりも酒が飲みたいならば酒と心中するまでだよな、、、それも生き様だ。いざとなったら救急車で運んでしまえば、病院嫌いも諦めつくだろう。
若かりし頃の父。ちょっとしたイタリア人⁉️のような彫りの深さで、随分おモテになったそうで。