3月半ば、大沼由紀先生が客演される、小川未明作「港に着いた黒んぼ」を観にいってまいりました。
小川未明の作品は、児童文学でありながら、人間のどうしようもない欲ぶかさや、避けようのない死などをテーマとするシュールなものが多く、その仄暗さに惹きつけられ、子供のころ愛読してました。(←根暗な子供)
先生が、「港に着いた黒んぼ」の、踊り子である姉の盲目の弟役を演る、と聞いた時から、絶対観に行きたい!!と決めていました。
舞台途中より、涙が止まらなくなりました。
言葉より雄弁に体が語る、とはまさにこのことだ、と思いました。
肩よせ合い支え合って生きて行く姉弟の愛、それを断ち切る欲、打ち捨てられた弟の哀しみ、失ったもののあまりの大きさに気付き絶望する姉。
朴訥とした語り、笛の音、異国の調べ、歌、その全てと呼応しながら体が胸の内を語る、、、
心が激しく揺さぶられました。
あの弟役は、先生にしかできない、と思いました。
フラメンコでありながら、フラメンコを越えていってしまう、だけど内面の表出というところではまさにフラメンコ、という無限の輪みたいな舞台でした。
しばらく、その余韻から抜け出せないでいた3月半ばでありました