咽び泣くようにかき鳴らされるギター、腹の底いや地の底から絞り出されるような嗄れた叫び、それはまるで何かのまじないのように聞こえる。そしてそれらの音に呼応して肉を打ち震わせながら、時に獲物を狙って待つ猛禽類のように、時に髪振り乱し胸掻きむしり狂気のように踊られ、見るものはゾクッとしながら引き込まれる。そして、一旦そこに魅了されると、熱病のように思い続ける、またあれが見たい!と。
フラメンコを踊る時は、その衝動がなければ嘘になる、と思っている。一生できると思えないけど。その衝動は、フラメンコにある。フラメンコの音が教えてくれる、ここだよ、と。けれど、私は余計なことをやろうとしてしまう。カッコいい振りもしたいし、複雑なパソをカッコよく決めたりしたい。そしてそこに囚われると、行き詰まるし気持ちが萎えてゆく。フラメンコを聴く、感じる、フラメンコの音圧に負けないようにしゃんと立つ、歩く、その一歩は今出していいんかい?と自問しながら、探す。カツリとハマる時が稀にある。そこまで、探す、探す。そんな旅を続けていると、なんか途方にくれる。けれど、いつもそこを照らしてくれるのは、大沼由紀先生だ。
先日見に行った新生エスペランサでのライブ、途方もなく素晴らしかった。
全てが衝動であり、先生の存在全てだった。エスペランサの空間が、それを包み込む温かい光に満ちていた。フラメンコから愛されるってこういうことか!と嘆息した。
歌うように踊る、弾くように踊る、そして歌う。フラメンコに全てを捧げてきた大沼先生がその核へと迫る瞬間であったと思う。ヤバい!
4/24にエスペランサでの再演が決まったようです。たくさんの方に、本物を見て、感じていただきたい、と思う舞台です‼️